高血圧とは、血管にかかる圧力が慢性的に高い状態をいいます。日本では約4,300万人が高血圧と推定されており、最も多い生活習慣病のひとつです。

自覚症状がほとんどないため「サイレントキラー」とも呼ばれますが、放置すると脳卒中・心筋梗塞・腎臓病など重大な病気を引き起こすことがあります。

血圧の基準値と降圧目標

日本高血圧学会の最新ガイドライン(JSH2025)では、診察室での血圧が 収縮期140mmHg以上 または 拡張期90mmHg以上 を高血圧と定義しています。

分類収縮期血圧拡張期血圧
正常血圧120未満80未満
正常高値血圧120〜12980未満
高値血圧130〜13980〜89
高血圧(I度)140〜15990〜99
高血圧(II度)160〜179100〜109
高血圧(III度)180以上110以上

治療の目標としては、130/80mmHg未満(ご家庭では125/75mmHg未満) が推奨されています。

高血圧の原因

高血圧の約90%は本態性高血圧ほんたいせいこうけつあつと呼ばれ、明確なひとつの原因ではなく、複数の要因が重なって発症します。

塩分の摂りすぎ

日本人の食塩摂取量は1日平均約10gで、推奨値(6g未満)を大きく上回っています

カリウム不足

野菜・果物・海藻の摂取が少ないと、塩分の排泄が十分に行われません

肥満

体重が増えると血液量が増え、血圧が上がりやすくなります

運動不足

定期的な運動は血圧を下げる効果があります

ストレス・睡眠不足

交感神経の緊張が続くと血圧が上昇します

喫煙・過度の飲酒

血管を収縮させたり、動脈硬化を促進します

遺伝的素因いでんてきそいん

ご両親が高血圧の場合、リスクが高まります

残りの約10%は二次性高血圧にじせいこうけつあつで、腎臓病やホルモン異常など特定の病気が原因です。こちらは原因疾患の治療で血圧が改善することがあります。

高血圧の症状

多くの場合、自覚症状はありません。健康診断で指摘されて初めて気づくケースがほとんどです。

ただし、血圧が非常に高い場合には以下の症状が現れることがあります。

  • 頭痛(特に後頭部の重い痛み)
  • めまい・ふらつき
  • 肩こり
  • 動悸どうき・息切れ

これらの症状がある方は、早めに医療機関を受診してください。

高血圧を放置すると

高血圧の状態が続くと、血管の壁に常に強い圧力がかかり、動脈硬化が進行します。その結果、以下のような合併症のリスクが高まります。

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)

心臓

心筋梗塞・狭心症・心不全

腎臓

慢性腎臓病(CKD)・腎不全

血管

大動脈瘤だいどうみゃくりゅう大動脈解離だいどうみゃくかいり

治療について

生活習慣の改善

まずは生活習慣の見直しが基本です。減塩に加えて、カリウムの積極的な摂取筋力トレーニングも有効とされています。

減塩

1日6g未満を目標に(めん類の汁を残すだけでも2〜3g減らせます)

カリウムを増やす

野菜・果物・海藻・豆類を積極的に摂り、塩分の排泄を促しましょう(※腎臓病の方は医師にご相談ください)

適正体重の維持

BMI 25未満を目指しましょう

適度な運動

有酸素運動に加え、スクワットなどの筋力トレーニング(週2〜3回)も有効です

節酒

日本酒なら1日1合まで

禁煙

喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させます

十分な睡眠

睡眠不足は交感神経を緊張させ、血圧上昇の原因になります

家庭血圧の測定

診察室での血圧だけでなく、家庭血圧の測定も重要です。朝と夜、決まった条件で測定を続けることが、正確な血圧管理の第一歩です。

薬物療法

生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合や、すでにリスクが高い場合には、降圧薬による治療を行います。目標に達しない場合は早期にステップアップ(薬の追加・増量)することが大切です。

薬を飲み始めると「一生飲み続けなければならない」と心配される方もいますが、生活習慣の改善と合わせて血圧が安定すれば、減薬できるケースもあります。

当院でできること

当院では、高血圧の診断・治療・経過観察を行っています。

  • 血圧測定・血液検査による評価
  • 生活習慣の改善に関するアドバイス
  • 降圧薬の処方・調整
  • 合併症のスクリーニング(検体検査・心電図など)

夜21時まで診療しておりますので、仕事帰りにも通院いただけます。健康診断で高血圧を指摘された方、血圧が気になる方は、お気軽にご相談ください。