糖尿病とは、膵臓すいぞうから分泌されるインスリンというホルモンの働きが不足し、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。

日本では糖尿病が強く疑われる人と予備群を合わせると約2,000万人にのぼり、非常に身近な生活習慣病のひとつです。

診断の基準

厚生労働省 e-ヘルスネットでも示されているように、以下のいずれかに該当する場合、「糖尿病型」と判定されます。

検査項目糖尿病型
空腹時血糖値126mg/dL以上
75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値200mg/dL以上
随時血糖値200mg/dL以上
HbA1c(ヘモグロビンA1c)6.5%以上

HbA1cは過去1〜2か月間の血糖の平均を反映する指標で、日々の変動に左右されにくいため、糖尿病の診断や治療効果の評価に広く使われています。

糖尿病のタイプ

1型糖尿病

膵臓のβ細胞が壊れ、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプです。年齢を問わず発症し、インスリン注射が必要になります

2型糖尿病

インスリンの分泌が減ったり、効きが悪くなったりするタイプです。糖尿病の約90%を占め、遺伝的な体質に生活習慣が重なって発症します

このほか、他の病気や薬の影響で発症するタイプや、妊娠中に血糖値が高くなる妊娠糖尿病もあります。

糖尿病の原因(2型)

2型糖尿病は、遺伝的な体質に以下のような生活習慣が重なることで発症します。

食べすぎ・偏った食事

糖質や脂質の多い食事が続くと、膵臓に負担がかかります

運動不足

筋肉でのブドウ糖消費が減り、インスリンの効きも悪くなります

肥満(特に内臓脂肪型)

内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが低下します(インスリン抵抗性)

ストレス・睡眠不足

血糖値を上げるホルモンが増え、血糖コントロールが乱れやすくなります

遺伝的な体質

ご家族に糖尿病の方がいる場合、発症リスクが高まります

糖尿病の症状

初期には自覚症状がほとんどありません。健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘されて初めて気づくケースが多いです。

血糖値が高い状態が続くと、以下のような症状が現れることがあります。

  • のどが渇き、水分を多く摂る
  • トイレが近くなる(多尿)
  • 食べているのに体重が減る
  • 疲れやすい・だるい
  • 傷が治りにくい

これらの症状がある方は、早めに医療機関を受診してください。

糖尿病を放置すると

高血糖の状態が続くと、全身の血管が少しずつ傷つきます。特に細い血管がダメージを受けやすく、以下のような三大合併症が起こることがあります。

糖尿病網膜症(目)

網膜の血管が傷つき、進行すると視力低下や失明の原因になります。自覚症状がないまま進行するため、定期的な眼底検査が大切です

糖尿病性腎症(腎臓)

腎臓の細い血管が障害され、進行すると腎不全や人工透析が必要になることがあります

糖尿病性神経障害(神経)

手足のしびれ・ピリピリ感、足の感覚低下などが起こります。足の傷に気づきにくくなり、壊疽えその原因になることもあります

さらに、太い血管の動脈硬化も進行し、心筋梗塞脳卒中末梢動脈疾患まっしょうどうみゃくしっかんのリスクも高まります。

治療について

食事療法

治療の基本は食事の見直しです。「特別な食事」ではなく、バランスのよい食事を適切な量で摂ることが大切です。

適切なエネルギー量

年齢・体格・活動量に合わせた摂取カロリーを守りましょう

バランスのよい食事

主食・主菜・副菜をそろえ、野菜を多めに摂りましょう

糖質の摂りすぎに注意

清涼飲料水や菓子パンなど、血糖値が急上昇しやすい食品は控えめに

運動療法

運動には、ブドウ糖を消費して血糖値を下げる効果と、インスリンの効きをよくする効果があります。

  • 有酸素運動(ウォーキング・軽いジョギングなど)を1日20〜30分程度
  • 週2〜3回の筋力トレーニングも効果的です
  • 食後1〜2時間に行うと、食後血糖の上昇を抑えやすくなります

※運動の種類や強度は、合併症の有無によって異なります。始める前に医師にご相談ください。

薬物療法

食事・運動療法だけでは血糖コントロールが不十分な場合、お薬による治療を行います。

  • 飲み薬 — インスリンの分泌を促す薬、効きをよくする薬、糖の吸収を遅らせる薬、尿から糖を排泄する薬など、さまざまな種類があります
  • 注射薬 — インスリン注射や、インスリンの分泌を促す注射薬(GLP-1受容体作動薬)があります

お薬は患者さんの状態に合わせて選択します。副作用や低血糖への対策も含め、丁寧にご説明いたします。

HbA1cの治療目標

合併症の予防のために、HbA1c 7.0%未満を目標にコントロールすることが大切です(厚生労働省 e-ヘルスネット)。ただし、年齢や合併症の状況によって個別に目標を設定します。

当院でできること

当院では、糖尿病の診断・治療・経過観察を行っています。

  • 血液検査によるHbA1c・血糖値の測定
  • 食事・運動に関する生活指導
  • 飲み薬の処方・調整
  • 合併症のスクリーニング(尿検査・血液検査・心電図など)
  • 専門医療機関への紹介(必要に応じて)

夜21時まで診療しておりますので、仕事帰りにも通院いただけます。健康診断で血糖値やHbA1cの異常を指摘された方、糖尿病が気になる方は、お気軽にご相談ください。